外陰部のおできについてお話しましょう。
外陰部でもいろいろな場所があり、陰毛の生え際(上のほうから下のほうまで)や足の付け根などに有痛性(少し痛い)の硬いおできで大きさはせいぜい直径1-2cmまでのものができる場合があります。これは毛穴が詰まったりそこに分泌する腺が詰まって感染を伴って起こることが多く、にきびや吹き出物の類です。生理前にできやすく、自然に勝手に治る場合やかなり腫れたり膿が出てから治っていく場合がありますが、同じところに再発を繰り返すと皮膚も黒ずみいつまでも硬いしこり残ってしまいます。程度がひどい場合は外科的に切開する場合もありますが、通常は抗生物質の内服か軟膏を塗って治します。
膣の出口のところにできやすいおできにバルトリン腺のう腫と呼ばれるものがあり、これは左右のその部分に誰にでもあるバルトリン腺(気持ちがよくなった時に粘液を出す腺)の開口部が何らかの理由で狭くなったり、閉じてしまったために中にその粘液がたまったものです。中に細菌などが入って感染するとバルトリン腺炎といって赤く腫れてとても痛くなります。のう腫の段階で大きさも小さく生活に支障がなければそのまま様子を見ていてもいいですが、サイズがどんどん大きくなったり、痛みを伴うようになれば治療(穿刺または小手術)を勧めます。ひどく腫れている緊急時は中の液や膿を穿刺して抜いて症状が和らぐ場合もありますが、またすぐに腫れてくることが多いです。小手術には腺の入口を大きくして中身の液体を出しやすくする造袋術と腺を全部取り除く摘出術があり、それぞれ利点、欠点がありますので詳しくは受診後医師に尋ねてください。両方とも局所麻酔で行うため20-30分以内で可能ですが、その後何回かの通院治療が必要です。
そのほか外陰部でも会陰部と呼ばれる部分(小陰唇周辺や肛門と膣の入口の間)に性感染症であるヘルペスやコンジローマの病変(ぶつぶつ)ができて診察に来られる人もいます。ヘルペスは必ず痛みを伴います。(詳しくは性感染症の話のところを参考にしてください。)会陰部にただれた潰瘍のようなものができてなかなか治らないときは、外陰癌、梅毒またはベーチェット病と呼ばれる自己免疫疾患の可能性などがあります。どれも極めて珍しい病気です。ベーチェット病の場合は目や口の中の粘膜もただれることが特徴です。また外陰部の皮膚に黒いほくろのような斑点ができて明らかに大きくなる場合は悪性リンパ腫と呼ばれる癌の一種の怖い病気もありますが、これもきわめて稀です。外陰部の周辺の皮膚が全体にかなり白っぽく分厚い感じの場合は白斑症と言ってその一部が前がん状態の場合もありますので一度診てもらってください。
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